買い付け日記(1)トラブル編

昔から、「旅につきものはトラブル」とよく言われている。
今日お話しするようなことは、旅慣れた人には日常茶飯事かもしれない。
けど、「万年初心者」の私には、いまでも結構こたえる。

2024年の6月にドイツ・オーストリアに買い付けに行ってきた。
廻った街は、ベルリン・シュトットガルト・ミュンヘンそしてウィーンの4都市。そこで約1,000枚のLPを仕入れてきたが、その道中は決して楽なものではない。今回は、その話をちょっと。

トラブルその1

6月×日

 羽田空港からミュンヘン経由でベルリンに向かった。

 ミュンヘンまでは実に快適なフライト。だが、そのあとに災難が。

 この頃の南ドイツは異常気象のため大雨で被害が各地に広がっていた。

 私もどこかで水害があったらしいとは聞いていたが・・・

 さて、私を乗せたベルリン行きの飛行機は、滑走路まではなんとか進んだが、そこで突然の大雨。離陸を何度か試みようとしたが、管制塔からストップが入ってしまい。とうとう引き返すことに。その時はすでに深夜。航空会社のサービスセンターもクローズ。便利なことにスマホで翌日の始発のフライトに振り替は完了したが、とうとうこの日は空港で一夜を過ごすことに。
毛布や軽食・飲料は支給されたが、空港それも外国での一夜はつらかった。ほとんど一睡も出来ず、おまけに時差ボケもあり、体がちゃんと慣れるまで一週間近くもかかった。

 トラブルその2

6月△日

 ウィーンからシュトットガルトまで、飛行機で移動。

 機体の整備不良とかで4時間ほど飛行機が定刻より遅れた。ちょっと嫌な予感。

 これでも結構なストレスであったが、悲劇はそのあとに。

 シュトットガルト空港に着いても私のスーツケースが待てど暮らせど出てこない!

 同じ境遇の乗客数人と空港内のサービスセンターに。

 そこで便名や名前そして、シュトットガルトでの滞在先(ホテル)の住所などをタブレットでインプットさせられた。

 係員曰く、「たぶんスーツケースはウィーンにあるから、あすの朝に空港に来ることをおすすめする」と言われ、当日は不安を残しながらホテルでまたまた眠れぬ一夜。

 翌朝、一番で空港に行ってみると、また係員曰く、

「これからウィーンからの始発便が来るので、きっとそれに載ってくる」

 しかし、やはり・・・・

「ここに着いたら、すぐにホテルに配達するので、安心して待っていてください!(できるか!)

 もしとりあえず必要な衣類や必需品があったら、レシートを必ずもらって買ってください。」

 シュトットガルトには、日本資本のファストファッションの超有名店があったのが不幸中の幸いであったが、最終的にスーツケースが手元に戻ったのは、紛失が発覚してから約48時間後のことであった。

それでも、私は旅を続ける。
愛するレコードと音楽のために。

そんなときでも、「音楽」は多くの発見と喜びを私に与えてくれる。

ウィーンとミュンヘンで聴いたコンサート

6月16日

ヴィオッティ指揮のウィーンフィルの第10回定期演奏会を聴いた。これが、ウィーンフィルの今シーズン(2023/24)最後の定期演奏会である。(場所はウィーン楽友協会の「黄金の間」)

天下の名門オケであるウィーンフィルは、実は「副業団体」であることはご存じであろうか?(故に基本的に定期演奏会は土日のマチネーのみ)

ウィーンフィルの「本業」はウィーン国立歌劇場でのオーケストラピット内での演奏での演奏である。(年間300回以上!)それゆえに、ウィーンフィルとしてのコンサートは案外少ない。この第10回の定期が今シーズンの最後の演奏会であった。

ゆえにウィーンフィルの定期演奏会の指揮者に選ばれることは 指揮者にとってとても名誉なことなのである。今シーズンも、ムーティ・メータ・ティーレマンなどの皆さんご存知の巨匠たちが名演を繰り広げたが、最後の定期は、この演奏会がウィーンフィルデビューとなる、ロレンツォ・ヴィオッティの登場!

 ヴィオッティは1990年生まれの34歳。(スイス生まれのイタリア人)父であるマルチェロはこれまた名指揮者(2005年没)で私も彼の演奏には何回か接したことがある。さて、ヴィオッティの指揮は、百戦錬磨のウィーンフィルを相手にして実に見事なものであった。

特にドヴォルザークの交響曲第7番での音楽の内側からこんこんとあふれ出てくるエネルギーが、実に心地よく、感動的な名演になった。

客席の反応も好意的で、終演後オーケストラのメンバーが帰ってからも二度も呼び出されていたほどだ。(一度目は儀礼的なものでどの演奏会でもあるが、二度目は客席からの「本当に良かったよ!」というメッセージが込められていたのは間違いない。)

6月22日

クラウス・マケラ指揮のミュンヘンフィル定期演奏会。(ガスタイクHP8という名のホール)

クラシックファンなら一度は名前を聞いたことのある、若き巨匠マケラの登場。

28歳のフィンランド人であるマケラは現在パリ管弦楽団の音楽監督、そして数年後はアムステルダム・コンセルトヘボウの首席指揮者そしてシカゴ交響楽団の音楽監督にも就任予定のまさに飛ぶ鳥を落とす躍進ぶり。

その彼の登場とあって、ホール内は熱気に包まれた。

ホール前には、チケットを入手できなかったファンが「チケット求む!」のプラカードを持っていたのを見かけた。それくらい彼の人気は凄い!

さて、長身の彼の指揮ぶりは実にダイナミックで、それだけ見ていても満足してしまう。しかしながら、指揮という「自分で音を出さない」演奏家の難しいところ。まだ彼の熱いパッションがすべて楽団員に乗り移っていないことも事実で、ちょっとかわいそうに思えてくる場面も。(R.シュトラウスの「アルプス交響曲」ほか)

もちろん、演奏は水準以上で私を含めた観衆は大満足であるが、輝かしい未来を約束されている彼には、どんどん期待してしまうのも事実。

目が離せない!

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