クナッパーツブッシュのチャリティコンサートライヴ

プリンツレーゲンテン劇場(ミュンヘン)舞台改修支援のために

本盤は、ハンス・クナッパーツブッシュ が1955年3月20日、ミュンヘンで指揮した特別演奏会の記録をもとに制作された、きわめて稀少な非売品LPである。(ミュンヘン・コングレスザールで収録)
演奏会そのものは戦災からの復興途上にあったバイエルン国立劇場(Nationaltheater)再建のためのチャリティー・コンサートとして開催されたが、本LPはその音源を用い、プリンツレーゲンテン劇場の修復・再建資金調達を目的として限定的に制作されたチャリティーLPである。この「演奏会の目的」と「LP制作の目的」が異なる二重構造こそが、本盤を単なる記録音源以上の存在にしている。

流通を前提としない制作背景ゆえ、正規の商業カタログにほとんど姿を現さず、現在でも市場での出現頻度は極端に低い。盤面に劇場内部写真を配したピクチャーディスク仕様という点も、クラシックLPとしては異例であり、視覚的にも強い存在感を放つ。内容・来歴・物理的仕様のいずれを取っても、通常の演奏会録音とは明確に一線を画す。

客席から見たステージ

客席天井

演奏内容もまた、この盤の稀少性を裏付けている。ワルツやポルカ、行進曲といった軽音楽的レパートリーでありながら、後年DECCAに録音された名高い《ウィーンの休日》(彼の個性や遊び心が十分に発揮された「名演」として有名)をさらにヴァージンアップして、テンポの大胆な揺れ、深い溜め、強烈な推進力が随所に聴かれる。とりわけ**シューベルト《軍隊行進曲》**は、《ウィーンの休日》とは異なる編曲が用いられ、より重量感や寂寥感を強調した演奏となっており、スタジオ録音では聴けない表情を示している。

本盤は海外では
TELDEC 9031-72911-1
“Zugunsten des Bühnenausbaus im Prinzregententheater München”

(ミュンヘン・プリンツレーゲンテン劇場の舞台拡張(改修)のために)
として登録されているが、一般的な商業盤として再発・普及する性格のものではない。国内で言及される別番号も制作・管理上の識別に過ぎず、実質的には「その現物を所有するしかない」タイプのレコードである。

戦後ドイツ音楽文化復興の現場を伝える一次資料であり、同時に指揮者クナッパーツブッシュの最も生身の姿を刻んだ記録でもある本盤は、内容・希少性・象徴性のすべてにおいて、コレクションの中核となり得る一枚である。次にいつ出会えるかは分からない、その種のLPである。

幸いにも当店には2枚のストックがある。(下のURLをクリックしてください)
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