モントゥーのシベリウス/交響曲第2番

信頼して身をゆだねられる大家の名演

先日、久しぶりにこのLPを通して聴いた。


ピエール・モントゥー指揮、ロンドン交響楽団による、シベリウス/交響曲第2番

改めて思ったのは、これは「感動を煽る」演奏ではなく、「信頼して身を委ねられる」演奏だということ。

まず聴き始めて感じるのは、驚くほどの安定感。
いわゆる絶叫や、感情を前に押し出すような表情付けはほとんどない。テンポは自然で、呼吸は大きく、どの楽章も無理なく次へと進んでいく、にもかかわらず、音楽の骨格は微動だにせず、全曲を通して揺るぎない構築感が保たれている。

第1楽章では、弦の刻みがきわめて均質で、音楽が地面をしっかりと踏みしめて進んでいく感触がある。第2楽章でも、低弦と管の重心は常に低く、暗さや緊張感を誇張することなく、静かな持続として音楽が流れる。そして終楽章。ここでありがちな「勝利の咆哮」はなく、音楽はあくまで自然な歩幅のまま、気がつくと頂点に到達している。
この抑制の効いた昂揚こそ、モントゥーの美学なのだろう。

そして、この演奏の魅力を決定的なものにしているのが録音だ。
細部を強調したり、特定の楽器を浮き立たせたりすることは全くない。音像は終始安定し、オーケストラ全体が一つの塊として、しっかりと捉えられている。フォルテでも音が前に飛び出すことはなく、響きは横に、そして奥へと広がる。そのため、聴き手は個々の音ではなく、音楽全体の流れと構造に自然と耳を傾けることになる。

派手さは全くない。
しかし、長く付き合える一枚だと感じた。気持ちを高ぶらせるのではなく、静かに整えてくれるシベリウス。
演奏と録音が同じ方向を向いたときに生まれる、理想的なLPの一例と言えよう。
ありがとう!

シベリウス/交響曲第2番
ピエール・モントゥー(指揮)
ロンドン交響楽団

(1958年・キングズウェイホールで録音)

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